2005-01-01から1ヶ月間の記事一覧

Variations on the Song of Songs.

私を刻み付けて下さい。 貴方の心に、印章として。 貴方の腕に、印章として。 きっとこれは不完全な祈り。 作り笑顔と砂糖抜きの紅茶と香水の香りの交差点。 象徴に成り得る意匠など無く、 脆弱な意志と遠くを射る視線が此処に横たわる。 それでもなお、刻み…

Cut With The Cake Knife.

君の愛らしさだけを勝手に切り分けて、 口いっぱいに頬張って喜んでいるような世界だ。 軽口を叩きながら苺を取り合ったりしているけれど、 僕はナイフについたクリームを舐め取るだけで十分だ。 フルコースの前菜に目を向けず、 ただ甘いものだけ摂っていた…

Unreleased Rose Song.

今は特別でも、すぐに日常に変わる。 貴方が此処に在ること、 貴方が誰かの日常に加わること、 貴方の日常に私達が加わること、 それすらも日常として流れること、 それらをもたらしたこの巡り会いに感謝を。

De profundis.

僕はもっと軽やかに絶望したいと願っているんだ。 鞄を下ろして喫茶店で一息つくように、 あるいは川原をスキップしながら帰るように。 溜め息は誰の耳にも届かず、 ただ白く大気の中へ拡散していく。 輪郭をさらに透明に近付けて、 僕は背負った物と捨て去…

Baby, you aren't mine.

僕の物だということは、僕を構成する一部だということ。 僕は君が僕じゃないから愛することが出来ている。

Cum vix justus sit securus.

貴方を柔らかく抱き締めて、髪を撫でながらキスをすること。――ただ単に貴方を僕の物にしたいと思ったんです。貴方を縄で縛り猿轡を噛ませて、優しい目で見下しながら犯すこと。――愛される方法を教えてください。貴方の喉に手をかけて、動かなくなるまで水に…

Et expecto...

ひとが抱き締めてくれなくても、 世界が私を抱き締めてくれる、 そう信じていた。 しかし、世界の腕の中はあまりに広すぎて、 包まれていることは解っても、 温もりを感じる為には空間が在り過ぎた。 世界が私だけを見ると、ひとが悲しむ。 そう知っていても…

Distant Noize.

もしも世界に独りきりだと感じたら、 ゆっくりと目を閉じるといい。 遠くに車の通る音がする。 テレビの向こうでは誰かが話してる。 どんな些細でくだらない痕跡でも、 そこに誰かの呼吸を感じることが出来る。 それでも足りない時は、 僕の孤独の端っこを啜…

Quiet Noize.

今日も誰かの嘘が、 この上なく優しい速度で染み込んでいく。 まるで、雪のように。 だから僕は笑顔で生きていける。

Haircut 100 again.

今日、髪を切った。 もう何の言葉も身に刻んでいないけど、 誰かに会いに行こう。 そう考えてしまった僕の、 いつもと大差の無い日常の一コマ。 今日も風が速い。

Careless Whisper.

悔しいな。 全く参っちゃうよ。 本当に可愛いんだよな。 困ったよ。 何に困ってるのか解らないけど。 だからどうしたって話だけど、 可愛いんだよ。 ちぇっ。

Haircut 100.

今日、髪を切った。 今度は長めに残すこともなく、いつもの短さに。 別に何かを意識することもないし、 何かに見切りをつけたわけでもない。 自分を変えたくなるのはいつだって発作的な欲求だ。 例えば久し振りにまともに授業を受けたからかもしれないし、 …

To be loved.

愛される為に足掻く事と、 愛されるのを諦める事の、 一体どちらが美しい在り方だというのだろう? 私にはまだ答えが出ない。 他人を蹴り飛ばし、泥水を引っ掛けながら、 誰かの胸に飛び込もうとしても、 そんな勢いでは大切な人を突き飛ばしてしまうだけと…

Stand by.

お互いに寄り掛かるわけでもなく。 距離感を探りながらさ迷うわけでもなく。 いがみ合って顔を背けることもなく。 ただ寄り添って二人で立っている、 そんなシンプルで力強い形を、 心から羨ましいと思った。 僕も、そのように在ることが出来るだろうか? 嫉…

Miserere.

僕が君に出来ることは実に少ない。 いや、殆ど無いと言ってもいいのだろう。 弁護の言葉は虚しく響くばかりか、多くの人の傷を抉る。 罵る言葉は何よりも僕の思い出を傷つける。 君の元に駆けつけても此処に居ても状況は何も変わらない。 ただ僕は、「哀れみ…

Night sings.

夜が嘘をついている間、 僕はそれに耳を傾け続ける。 朝があまりに事務的なことしか呟かないので、 どうにも飽いていたんだ。 いつまでも甘い言葉に騙されることを、 嬉々として受け入れよう。 美しい虚飾を紡ごう。 僕は幸福を与えない真実を語らない。

Quid sum miser tunc dicturus?

「そんなやり方じゃ愛は得られない」 ただ一言だけ俺は君に言ってやりたかった。 神話の中でしかピグマリオンは存在出来ない。 作り上げたものは完成された故に愛さず、 作られていないものは愛を知らない。 星に手を伸ばす俺は、 種を掘り返そうとした君を…

Stop.

時折、在るという事を恐ろしく感じる。 人は只在るだけではいられず、 常に動いていなければならない。 今日の自分は昨日の自分より優れているか、 それとも劣っているか……どちらかでしかない。 今日と同じ明日が来るように願えども、 時はただ一点に向かっ…

Couplet #3.

目を閉じる。 耳を澄ます。 今まで見なかった物を見ようとする。 今までとは違う方法で見ようとする。 耳を澄ます。 セカイヲカエル。 耳を澄ます。 目を開ける。

Complex.

簡潔で大事な答えほど、 そこに至る道は、 いつだって複雑な迷路だ。

Couplet #2.

夢の中で、愛していない人を犯した。 街で、死んだ友人の話をして笑った。 道端で、迷子の子供を無視した。 友達に、沢山の嘘をついた。 僕は今日も歌いながら家に帰った。

Simple.

どれだけ言葉を重ねても、 大切な人の心を打つのは、 いつだって陳腐なLovesongだ。

Couplet #1.

街を歩いていたら、 ふと愛されたくなったので、 僕は空を見上げて歌った。 風は僕を横目で見ながら通っていったけれど、 どうも世界に何の用も無いらしい。

Bloom.

いつか花開く時が来るのだろうか。 散ることによってなお、 在った意味を遺す事が出来るのだろうか。 それとも見つめられることも無いままに、 ただ在り続けることが幸いなのだろうか。 僕は、君にとっての何かとして在ることが出来ただろうか。

Blossom.

ただ咲き誇ることが許される貴方を、 私は枯らすことでしか愛することが出来ない。 私が触れずとも蕾は開き、 当然のように美しく在ることが出来るのだから。

S-T Etude #7.

ありふれた言葉。 何処かで目にした言葉。 しかし、溢れ出るのはいつもそんな言葉だ。

S-T Etude #6.

分ける。年齢で分ける。性別で分ける。人種で分ける。 趣味で分ける。職業で分ける。愛憎で分ける。顔で分ける。 分ける。分けきってなお残るものをどう扱う?

S-T Etude #5.

主題は一つ。 変奏は無限。 生命は有限。

S-T Etude #4.

ただ、交差点があるだけ。 あまりに遅い相対速度が錯覚を起こす。 たった一度のズレが、彼方では姿も見えぬほどに。

S-T Etude #3.

自分が嘘をついている、 そう確信できるから安心している。 何も意図されなかった言葉の痛切な悲鳴。