The law of conservation of mass.

「世界の幸福と不幸の総量は一定だ」なんて話をよく聞く。
自分が幸福になった分、同じ量だけどこかで幸福が減っていく、
よくある話だよ。
とりあえず、この国にはちょっと幸福が偏りすぎてる気がしてね。
それを考えたら、少しくらい凹むことがあっても仕方ないかな、なんて。
こんなみみっちい俺の幸福でよければ、存分に使ってくれや、みたいな。
ちょっと話が大袈裟すぎたな。
じゃあ考え方を変えてみよう。
「とりあえず、俺の幸福を貸してやってる」
こういうのはどうだい?
つい最近までいい思いさせてもらってたからね、
しばらくの間、貸しといてやるよ。
ああ、利子は取らない。取り立てる気も無い。
どっかのクソ野郎から、足りない分はぶんどってくるからさ。
ほら、結構上手くいったろ?
……うーん、どうも今日は冴えないね。
俺は負け惜しみをしたいだけなんだけど。
まあいいや。別に悪いことも無い。
友達は相変わらず馬鹿やって笑ってる。
恋人達は幸せそうに笑ってる。
……さほど、現状も悪くないか。