春よ、こい。

美しいものが生まれ出る瞬間に、
私はむしろ全ての滅び行くものを想っていたいのです。

春の喜びの中、消えゆく雪を手に掬ってもいいですか?。
貴方とキスをしながら、死にゆく子供達のことを考えてもいいですか?

それは世界の愛を裏切る行為だと知っています。
しかし私は暖かな腕の中から抜け出し、
誰にも届かない子守唄を奏でたいのです。