Silence is golden.

傷付けられた獣を抱いて、人は泣く。
「この子は頑張っている」と。
「こんなにも愛されようとしている」と。


だが、何故問わないのだろう。
誰が傷を付けたか。何故傷ついたか。
そもそも獣は其処に居るべきものだったのか?


可哀想だと思う優しい私が好き。
傷付けた人を見下し、私がいかに優れた者か感じよう。
私は獣くらいなら支えられる。
この同情の涙は美しい。
身勝手な涙の理由を罵る私は正しい。


あまりにも矮小でありふれた感傷。
ああ、いつも人は……
そう言いかけてふと気付く。
私は一体、生まれた時から誰であったか?


……沈黙に勝る雄弁な表現は無い。
しかし、それでもなお私は語らねばならぬ。
私は一体、生まれた時から誰であったか?
……私は在る為に語らねばならぬ。